アクセシビリティに興味を持ち始めたきっかけ

アクセシビリティの琴線に触れるいくつかのアプローチ の記事を読んで、自分がアクセシビリティに興味を持ち始めたきっかけについて書き残しておきたくなったので書く。

自分の場合はアンチャーテッドというゲームのメイキングインタビュー動画をみたのが、アクセシビリティを意識するようになったきっかけになっている。

5分程度の動画なのでまずみてほしいのだけど、一部暴力的なゲーム内シーンもあるのでこういうのが大丈夫な人は再生ボタンを押してほしい。

www.youtube.com

内容を要約すると以下のような動画になっている。

  • アンチャーテッド4というゲームは多くの人にゲームを楽しんでもらえるようにアクセシビリティに取り組んでいる
  • これまでのシリーズではボタンを連打するなどの複雑な操作が必要な場面で健常者の助けなしではクリアできなかったが、障がいを抱えたゲーマーの話をきっかけにアクセシビリティに取り組んだ
  • 過去作からのアクセシビリティ機能を拡大してボタン連打が必要なものを長押しに出来るようにしたり、色覚によって区別できない色を使っている部分を変更したりした

自分はこの動画をみて、かなり気づかされることが多いなと思った。

自分が出来ることが出来ない人がいること、出来ないことを出来るようにする実現の仕方、ゲームの操作が出来ないことはもうそのゲームを楽しめないということ。

出来ない人がいるなんてちょっと考えてみれば当然だったけれど、全然意識したことがなかった。

特に冒頭のインタビューが強く印象に残っている*1

開発者に気づいてほしい ぼくらにはゲームが単なる娯楽以上のものだと 障がいをかかえているとう憂うつさを忘れさせてくれるんだ 交流の機会も与えてくれる 外見で判断されるんじゃなく ゲーム内での行動やその結果だけで判断される機会だ

印象に残ったのは当時の自分の立場ともリンクしていたからもあると思う。

自分は当時*2Web小説サイトの開発に関わっていて、ここではユーザーさんが小説を書いて自分の考えた物語を表現したり、読んでその世界に浸ったり、感想を述べて交流したりしている。 これはインタビューで言われていた ゲーム内での行動やその結果だけで判断される機会 と同じだし、サイトが使えないことはこの機会がないことになってしまい、すごく残念な気持ちになった。

このように自分に置き換えてみると、アクセシビリティに対して「あ、これって大事なことだ」と素直に思い、以来アクセシビリティについて興味を持ち始めた。

琴線に触れるいくつかのアプローチでいう「人権」や「福祉」に近いきっかけだったと思う。

もちろんこれはゲームの販促動画なので、エモい発言や見せ方になっていると思う。 動画内では語られていないけど、法律などの要請もあった可能性もある。 けれどもおかしなことは言っていないし、タイミングもあっただろうけど自分が意識するきっかけになってくれた。その意味でとてもいいインタビュー動画だと思う。

これまで普段WebサービスのUIを実装する時はブラウザなどのユーザーの環境の違いを考えて動くように実装することはあっても、そもそもそのUIを使えない人がいるところまでは正直想像できていなかった*3。 やっぱりアプリケーションエンジニアとして多くの人が使えるサービスを作っていきたいなと思うし、アクセシビリティは良いサービスを作る技術的な意味でも自然に受け入れられた考えだったし、面白いとも感じた。

恐らくこの先どんなものを作る場面でも、それこそWeb/Appアクセシビリティに限らず全ての人が利用できることを意識だろうから、この気づき方はよかったと感じている。何をするにしてもこの考えはもっていたいと思う。

最後に、アンチャーテッドと同じスタジオが制作したThe Last of Us Part IIを全盲の人がクリアした記事を貼っておく。 このゲームも自分もプレイしていたゲームで、目が見える自分でもちょっとやっかいだなと感じる敵がいたのに、それを目が見えなくてもクリアできるのかと驚いたことが強い印象だった。

automaton-media.com

*1:この人はDAGERSystemというゲームのアクセシビリティ関するメディアの編集長で、アンチャーテッドを開発している会社のノーティドッグアクセシビリティについて話した人。

*2:2021年現在も

*3:環境の違いを想像し切れていなかったという話ではある